これは、ほほえみ相談室に初めて来られた方が、異口同音によくおっしゃる言葉です。そして、私は「もちろん、間に合いますよ。」と答えます。
あなたは、何のことを言っているのだと思いますか。
何がもう間に合いそうにないと不安に思われたのでしょうか。
もしかしたら間に合わないかもしれない…でも、ひょっとしたら間に合うかもしれない…。
それで、まだ、間に合いますかと聞かれたのですね。
答えは、「この子の育て方を変えること」、そしてそれを通して「現状を変えること」です。さらに付け加えると、「現状の困難を乗り越えた先の明るい未来を見通すこと」です。
人は現状を変えたい時、次に出て来る思考の流れが大きく二つに分かれます。
① でも、どうしようもない。
② では、どうしたら良いか。
前者は、自分が現状を変える力がない、無理だと信じて、最初からあきらめてしまっているので、現状が変わるはずはありません。
しかし後者は、自分には現状を変える力があると信じているので、目標に見合った対策を考えてみようとしています。
そして後者の思考ができる時、あなたはすでに次のフェーズに入っています。
最初の問いの答えに戻りますと、これは、相談者の方の心の中で、カウンセリング中に私とお話しをしているうちに生まれた、あるいはもともと持っておられた、「今までの子育てを変えたい」気持ちを抱いた時に、多くの方から出て来る言葉です。
もちろん、私は、最初から具体的に、〇〇がポイントですよ、〇〇を変えるには☆☆をするといいですよ、とは申しません。
カウンセリングの中で、思いついたことから自由に話していただきますと、つい最近のことから、ずいぶん昔のことまで、これまで溜まっていた思いがあふれてきます。そうするうちに、たくさんの気になっていたことの中から、これはもしかして本質的な課題なのではないかとうすうす気づいていたけれど、手をつけずにそのままにして来たことに、皆さん、だんだんと思いがたどり着いて来られます。
( 本当はずっと気がかりだったんだけど…、このままでもなんとかなるかな…と思ってた。)
そしてそれは、ほとんどの場合、問題の核心を突いているのです。
子育てを登山に例えると、この時、二つの道があります。
一つは、一見険しそうに見えるけれど、この一番目指したい山を攻略して登りきり、頂上に立って素晴らしい景色を観ることができる道です。今は、いくらがんばっても、家族で力を合わせても無理そうだけれど、道先案内人が見つかって一緒に歩んでくれるなら、きっと登りきれると思える道です。そして、子どもが成長し、成人し、自立していった時に、共に来た道を振り返って、いろいろあったけど、良くがんばって登って来たねと、笑顔で喜ぶ瞬間を味わう道です。
もう一つの道は、まだ今のままでしばらく様子を見ようと、登らない選択をする道です。しかし、困難なことは変わりません。あるいは、まだ他にも違う山があるか探してみようと、別の山を探す選択をする道です。どちらにしても子育ては日常、毎瞬間毎瞬間、選択の連続です。本当に瞬間的に判断を迫られることが多いのも事実ですよね。どちらか一方を選んだら、もう一方は選べないのです。
そして、あなたもご存知のように、自分自身にしっかりと落とし込んだ確固とした信念がないと、何を優先して判断したら良いのか分からなくなったり、他の人と比べて不安になったり、たくさんの情報があふれていて、流されたり迷ったりすることも多いのです。
自然に任せていると、ホメオスタシスといって生物にもともと備わっている、恒常性を保つこと、つまり現状維持を優先するという、生命維持のための機能が発動します。生物が危険を回避し、生き延びるための機能です。これが私たちの思考にも影響を及ぼしていて、新奇性のあること、改革することから私たちを遠ざける性質があります。そのため、誰しも新しいことを試す時、難題に向かう時、チャレンジが必要な時には、とても勇気が必要になってくるのです。
このように、私たちは毎日多くの選択を重ねて生きています。そして、それが時間的につながったものが、いわゆる『人生』というものです。過去はもう過ぎていってしまいました。私たちには、みな平等に、今だけがあるのです。
私は、「子どもの味方になりたい」という若い頃の夢を叶えるためには、どんな道があるのか、ずっと探し続け、学び続けて来ました。そして、やっとここまで来ました。もちろんこれからも、生涯学び続けていきます。
私はこのスタンスを愛しています。なぜなら、このスタンスが、一番自分らしくポジティブにいられると分かっているからです。すでに分かっていること、気づいたことをシェアしていき、あなたの人生や子育てにお役に立てていただきたいと願っています。また、それを周りの方々にもお伝えしていただいて、より多くの方のウェルビーイングに貢献できたら嬉しいです。
さあ、あなたは、今日どんな選択をしますか?