• コラム

緊急公開‼️育児書には書かれていない「メゾパレメソッド子育ての最重要課題」とは

残暑お見舞い申し上げます。早くも8月終盤になりました。いかがお過ごしですか。


今は山間ののどかな場所に住んでいますので、年中いろんな動物の鳴き声に出逢います。真夏は蝉の中でもヒグラシの声が一番大きかったのですが、ひと足先に秋の気配。もう鈴虫の声が聞こえて来ています。


相談室のある街中はアブラゼミやミンミンゼミ、ツクツクホウシなど、蝉の鳴くにぎやかな声が暑さをより感じさせます。夜は車や往来の音がなくなり、コンビナートの灯りが灯ります。時折、瀬戸内を航海する船の汽笛が聞こえ、海の近くにいることを感じます。


新型コロナウィルスが第五類になり、この夏は4年ぶりにたくさんのイベントが開催されています。当初、元に戻るのに3年はかかると言われていたことがその通りになりました。でも、仕事先でも、外出先でも、まだマスクが必須の場所があります。そして、心はまだマスクをつけたままの人もあります。マスクは、ウィルスとの接触を防ぐだけでなく、私たちの不安な心を守ってくれているようです。


さて、5月末に、私は毎日ずっとマスクをして出掛けていた状態から、マスクをしない時を意図的に作るように変えました。でもその時、一抹の不安を覚えました。出会う人がまだマスクをしていたら、どうしようかな…とか。マスクをした状態でいつも会っていた方に、どう思われるかな…とか。

そんな中、私が仕事上、意図的にマスクを外そうと思ったのには、こんな理由があります。

第一に、子どもの心の成長を促すためです。


メゾンデュラパレットには、プレイセラピーの自分の番を楽しみに待ってくれている子どもたちが、それぞれのペースで通ってきています。そして、子どもたちの心身の発達や成長・安定のためには、家族を含む周囲の人々の良好な関係性が必要不可欠です。この関係性の中の一人として、私も仲間に入れさせていただいています。


マスクをしていた時は、遊びの中で触れ合いながらも、子どもたちに私の気持ちがあまり伝わらないだろうな…と、コロナ禍でのプレイセラピーの課題を感じていました。子どもたちの方は、運動する時などはマスクを外すようになり、私には子どもの話し言葉以外の情報が入ってくるようになりましたが、もちろん相互関係ですし、ご一緒される保護者の方はまだマスクのままでしたから、いろんな意味で手探り状態でした。


それが、今は、子どもたちは思いっきり笑ったり泣いたり甘えたりできて、こちらにもニーズが手に取るように分かるようになりました。私たち大人もしっかり受け取り、返すことができるようになり、プレイセラピーは毎回とても充実しています。


このなにげない関わりの中にあるのが、子育ての最重要課題とも言えるコツなのです。

それは、20世紀に活躍したイギリスの小児科医であり精神分析医である、ドナルド・ウィニコットが提唱した概念『good enough mother(ほどよい母親)』です。


彼は、ロンドンのパディントン・グリーン小児病院に医長として着任し、以後40年間、同病院に勤務、6万例を超える小児とその家族に接しました。彼はまず、普通の母親と乳幼児とが達成する、健康で正常な発達成熟過程を明らかにしました。この発達理論の特徴的で重要な概念が、「good enough mother (ほどよい母親)」です。この「ほどよい母親」とは、乳幼児に本来備わった潜在能力の発達を促進できる程度に良い、平均的で平凡な母親のことです。また、乳児の育児にごく自然に没頭でき、乳児の要求に適応し、「holding(抱っこ)」という言葉で表されるような機能を十分に果たし、幼児が成長するに従い、徐々に適応の度合いを減じていけるような母親のことです。


私はよく、保護者の方、特にお母さん方に、「親が適切な時期に適切な方法で手を離すことが大事」という話をします。過保護・過干渉、そして、日々の関わりの中で、子どもの責任であることを母親自身の責任にしてしまっていることが多く、それが自覚できていないために、子どもとの関係がうまくいかず、苦しくなってしまっていることがあります。


また、幼少期に親子の関わり方が偏っていて母子の一体感がしっかり獲得できていない、愛着形成に未熟さがある場合に、児童期・思春期になっても年齢相応の発達課題に移行できないケースがあります。しかし、そのような時こそ、育て直しのチャンスです。子どもの方が、自ら愛着を求めていくことができない時があります。親の方も、準備ができていないことがあります。発達も関係性も同じものは一つとしてありません。人が皆、ひとりひとり違うのと同じで、個々のケースで、「お互いのちょうど良いかげん」の時を待つことも大切です。


ウィニコットは言いました。ほどよい母親になる方法は育児書から学ぶものではなく、実際に育児をしている時に感じ取っていく、母親自身の感覚が大切だと。もし、あなたが我が子との関係性に少しでも疑問があるなら、あるいは、これからどう育てていったらいいのか不安に思っているなら、それは、今すぐにでも、メゾパレを訪ねることができるパスポートをお待ちだということです。